外国人の階層研究の文献まとめ①
外国人の階層研究の文献まとめ
大曲、高谷、鍛冶、稲葉、樋口の論文
在学率と通学率から見る在日外国人青少年の教育―2000年国勢調査のデータ分析から
韓国・朝鮮人
高校在学率は日本人と殆ど変わらない。
大学・大学院在学率は日本人よりも少し高い。
高校を日本で過ごしたものに絞ると大学・大学院在学率は日本人とほぼ同じになる。
(差を生じていたのは、留学生の存在であったといえる)
(差を生じていたのは、留学生の存在であったといえる)
韓国人の5年前国外にいたものの大学在学率は兵役にかなり影響を受けている。
中国人
高校在学率は日本人よりも低い(男子は20~25パーセント程度、女子は10%程度)
大学在学率は19歳では日本人よりも低い(10%)が23歳では日本人より高い(15~20)
日本で中学を過ごした女子は高校進学率において殆ど日本人と同等
日本で中学を過ごした男子は日本人との差が10~15%ほどに減少
23歳時点では、在日歴5年以上者についても、在学率が男女とも日本人よりも高いまま。
(中国人は日本人よりも大学にとどまりがち)
19~20歳の点で比べると高校を日本で過ごした中国人の女子は日本人と同等かそれ以上の大学進学率を達成している。ただ、男子は日本で過ごしても日本人よりもやや低い。
5年前どこにいたか、ということが通学率に与える影響がほかの集団よりも小さい
5年前に国外にいた20~23歳の集団の通学率の男女間の差が大きい。
ブラジル人
高校在学率が40%を越える年齢・世代がない
男女とも18・19において短大・専門学校進学率が5%程度で大学進学率は殆どゼロ
5年以上滞在して、中学校を日本で過ごせる状況にいても高校に進学するのは50%以下
(5年以下の滞在を含めたときよりも15%は上がった)
5年前の常住地について、【現在と同じ場所】(16歳―66.7、17歳―59.4)【国内の違う場所】(16―55.6%、17-25.5)【国外】(16歳―17.2%、17歳―11.6%)の順に在学率が低くなっている。(著者の予想通り)
著者は、5年前の常住地を今と同じ、国内の別の地域、海外、に分けることで、経済的な要因、社会関係資本的要因、言語文化的な要因によって生じる教育格差を測ることができると考えた。なぜなら、安定して同じ場所にいるものほど、経済的に安定し、社会関係資本の蓄積もあり、更に日本語にも適応していると考えたからだ。
だから、5年前の常住地と通学率の間に関係が見られるのならば、上記の経済的、社会関係資本的、言語文化的要因によってそれらは規定されていると主張する。(教育格差をそれらの要因から説明しようとしている。)そしてそれは、ブラジル人、日本人の統計において実際に見て取ることができた。故に、おそらく、経済的、社会関係資本的、言語文化的要因が教育格差を媒介しているとみることができるだろう。
宮島さんの論文
学習困難と文化資本の関係
多面的な文化資本が外国人の学習困難を規定している。
宮島は、文化資本を4つに分ける。①言語②ストック的形態③社会関係資本④時間の知覚や価値優先度の知覚(『今』とはどう位置づけられていて、何が重要で優先すべきなのか、ということ)
このほとんどの側面において、日本のニューカマーの子どもは前の世代や出身国から文化資本を引き継いだり、持ちこしたりすることができない。そのため、比較的両親の文化資本の水準は高いにもかかわらず、学習困難に陥る。
①について
母語と日本語は大きく異なるため、学習そのものが難しい。日本語を身に付けることで母語を忘れ両親からサポートを得ることが難しくなる。両親から引き受けられる文化資本は継承に言語を用いない、学習への姿勢などのハビトゥスに限られる。
②について
これについては殆ど無いに等しい、
③について
両親は学習について支援することはできないので、社会関係資本としての家族のサポートという側面は期待できない。限られた望みはボランティア団体からの支援に行きつくことのみ。それでも現状として、社会関係資本の乏しさから、モデルの貧困などが見られる。
④について
進学先を選ぶにつけて、モデルがないために選択の基準がなく価値判断をできない。
自分が今どういう社会空間に位置づけられているのか、自分が周囲の社会に対してどんな存在であるのか、ということが不明確なため(定住の見通しがたたないなどの理由から)勉強することや、今いる場所で生きることに積極的になれない、動機を得られない。
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