国際社会学 第7章 移民・外国人の子どもたちと多文化教育 宮島喬著

I外国人の子どもの就学の状況
不就学者の存在―という問題
佐久間孝正も不就学5つの原因
1本人の意欲の欠如
2頻繁な移動・滞在予定の不明など家族の行動
3いじめなどの人間関係
4日本語指導や受け入れ体勢の不備
5『構造化された不就学』
・義務教育の外国人への適用除外
・親の超過滞在など非正規状態―支援要求がしにくい
など
II移動する子どもたちへの教育的対応
受け入れのタイプの類型
1滞在が一時的な子どもを放任するか、母語や母文化教育を提供する
2入国前から同化が行われており、ホスト国の国民と変わらない教育を受ける(植民地教育)
3移民すべてに公教育においては、ホスト国の国家一言語での教育を行う
4定住移民第二世代への多文化的な教育を行う
日本は第3の類型に含まれる
III学習の環境と社会的条件
言語のハンディ以外の不利な環境的・社会的条件
・頻繁な移動―子どもたちは学校適応が困難になる
・経済的要因
・家族内関係―家族の統合度―父母の不和、一方の不在、養育放棄、など
三態度要因―『動機と励まし』『子供への強い関心と献身』『学校通学が大事と説くこと』
日本の外国人の状況―不就学・不登校家庭は家族問題がある
一般的にニューカマー外国人にとって家庭が効果的な学習支援の場となるのは難しい
IV多文化の教育の必要
多文化教育の必要性―アイデンティティの維持、異文化環境への適応、第二言語習得
日本において、多文化教育は極めてまれである
多文化教育の類型
共有型―同じ学校内など、共有の場で複数の文化が学ばれ教えられること
Minority文化がMajority側から否定的に見られ、言及されることがないのが成功条件
―マイノリティが自文化を肯定的に見なし、積極的に表出できなくなってしまうため
日本においては、この条件をクリアすることは一つの課題
分離型―特定民族の集住コミュニティの中の学校で多文化教育が行われ、ほかの学校では同化
V進学と社会参加
学校教育が単線型ではない国―早い段階から進路や成績に応じた生徒の振り分けが行われる国
マイノリティは底辺階層へ続くコースへと早い段階で振り分けられることがある
日本は中等教育を通じて学校格差の問題が存在している―将来の地位の決定
日本における外国人高校進学率―30%にも達しない
低進学率の要因
1学習を進める上でのハンディ(日本語能力など)
2入試制度などに関する本人・親の無知
3滞在予定や経済的条件などの不安定要素
4人間関係が限定されていることに依るモデル・進学の目的意識の欠如
進学率を高める動き
本人・親の意識の向上
ポジティブアクション―特別選抜枠など
しかし、進学先が限定されている―高いレベルの学校にはいけない
ただ進学後も支援を必要とする子どもも多く、体制作りが課題
VI学習の動機づけと社会的要因
現状
目的・目標の不在―日本の学生一般の中等教育へのモチベーションは低い
外国人は日本人以上に将来のモデルとなる存在が欠如―学習意欲・進学への意識が低い
改善の可能性
R.Putnamの社会資本(Social Capital)の拡大による改善可能性―ネットワークの拡大
(社会資本を通じてモデルを獲得(など)し、進路へのイメージを持つ)
日本人の旧友を作る、支援者に助けを求めること、など

コメント

なにが読まれているのでしょうか

シンボリック相互作用論とはなにか

主観/客観図式 デカルト

R. マートン 社会理論と社会構造 第4章 社会構造とアノミー