速読多読 第三弾 職業としての学問

速読多読 第三弾 職業としての学問 ヴェーバー

2016年12月21日
読了時間 45分

非常に短い本であったにもかかわらず、かなり長い時間をかけてしまいました。しかし、短いなりに多くの内容を含む本であったので、とても実りのある45分になりました。ヴェーバーという人の賢さがうかがえます。

内容
この本の内容は、第一次世界大戦が間もなく終わりを迎えようとする時代、敗戦が濃厚となったドイツにおいて行われた講演において語られたことをまとめている。
この講演においてヴェーバーは学問探求の姿勢について次のことを述べている。
まず、専門化について。
ヴェーバーによれば、学問は高度に専門化が進んでおり、そうした中で学問を職業とするものは専門外のことに対してわき目を振ることなく、自分の問題意識に没頭すべきであるとする。学問を職業するものとして個性を発揮するためには、個々人の持つ個性によってではなく、自分が取り組むべき仕事に仕えることによってである。
また、主知主義的合理化という概念もこの講演において重要なポイントである。
主知主義的合理化というのは、いわば世界の脱呪術化である。これは、世界は知性によって予測し、理解することが可能であり、神聖なものや神秘的なモノの力に頼らねば説明ができないようなことは存在しないという姿勢である。
最後に、価値自由という考え方もヴェーバーはこの講演において触れている。
学問の意味として、前提とされていることがある。それは、学問によって世界がどうあるべきか、という姿が明らかになるという考えであり、学問は普遍的な心理に辿り着くための道である、というような考え方である。しかし、ヴェーバーによれば、それらの学問が普遍的な価値あるものへと至る道程であるというような考えを否定し、学問の先にあるものは、「そうあるべきという状態」を示すような価値である、という考えを学問探求者は持つべきではないとする。それは、価値というものは常に相対的であるため、学問の妥当性を示す根拠にそうした価値判断が含まれないようにするためである。
価値自由とは、上記のように、事実(あるもの)と価値(あるべきもの)を区別すべきであるという考え方である。
ヴェーバーのように考えたとき(学問が一般的に前提としている知の普遍的な価値を認めない時)、学問の価値はどこにあるのか。それは人々の解釈に委ねられるほかないのである。

コメント

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