デュルケム著 自殺論 要約(というより読書ノート)④

デュルケム著 自殺論 要約

第二編 第二章 自己本位的自殺

この章においてデュルケムは宗教の違いによる自殺傾向の違いを分析する。
目をつけたのは、プロテスタントとカトリックの自殺傾向の違いだった。
カトリックに較べて、一般的に言えることは、プロテスタントの社会においては、自殺率が明らかに低いということであった。
その理由をデュルケムは、プロテスタント社会においては、伝統による社会の束縛や、それによる社会の伝統的な凝集性や緊密性が小さいためであると結論付けた。
その結論を基礎に、デュルケムは次に知識への欲求の高さと自殺の関係についての分析を行う。
その論理的な繋がりはこうである。
教育や知識(啓かれた意識―科学)とは、伝統が力を失った社会において、人々が伝統に代わるようなものとしてよりどころとするところのものである。
もしも、デュルケムの結論の通り、伝統の揺らぎが自殺率に影響を及ぼすのであれば、伝統の揺らぎの後にやってくる知識への欲求の強さは、宗教が示したもの同様に、自殺率との関連が見られるはずである。
そうした仮定に基づいた検証の末、デュルケムは教育と自殺の関係について、自身の仮定が正しかった事を証明する。教育と自殺には一定の関係が見られたのである。

この章における検証から導かれる二つの結論は、
①社会の伝統的な凝集性や緊密性の喪失が自殺を増加させるということ
②宗教が自殺を抑制することが出来た理由は、宗教には人々の集合的生活を育み、社会内部の緊密性や凝集性を強める力があるからであるということ
の二点である。

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