J.S.ミル著 自由論②
J.S.ミル著 自由論②
第二章 思想および言論の自由について
2017年1月21日
読了時間:30分
内容について
序章で述べた自由の三条件(人類の精神的幸福のための条件でもある)のうちの一つ、思想や言論の自由について、人々のそうした自由になぜ政府がいかなる形であっても制限を加えてはいけないのか、また、なぜ政府以外の如何なる権力もそうした思想や言論に如何なる制限も加えてはならないのかについて述べています。
ミルは、その理由について4つの根拠を示します。
①抑圧を受けたその意見が、真理かもしれないから
②基本的にどの言説も、完全なる真理ではなく誤謬をすくなからず含んでおり、そうした誤謬は対立意見との衝突によってのみ補完され完全な真理へと近づいていくことができるから
③完全なる真理が仮定的に存在を認められたとしても、その意見への挑戦が認められず、受容のみが許されるとき、受容者はその意見の合理的根拠を気に留めなくなってしまうから(合理的根拠を気に留めることが受容者として重要なことであるとミルは考えている)
④教説は受容者の理性や個人的経験と結びつくこと(反対意見との交流などを通して得られる)で受容者の内部にその意見に対する確信が成長するのであるが、意見や教説がそうして受容者の性格的に与えるそうした影響が失われ得るから
という理由で、ミルは思想や言論がいかなる意味においても自由が保障されていることが重要であると述べます。
そのうえでミルは、だからといって議論をする者が決してどのような態度であってもよいわけではないということを最後に少し付け加えます。議論を行うものは、公の議論に関する真の道徳に従い議論を行うのが望ましいと述べています。
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