J.S.ミル著 自由論③
J.S.ミル著 自由論③
第三章 幸福の諸要素の一つとしての個性について
2017年1月21日読了時間:30分
ここまできて改めて気づいたので、メモをしとくんですが、ミルにとって自由というのは幸福の条件の一部なんですね!
内容について
この章では、個性の自由について、なぜ人間の個性の発現は制限を受けるべきでないのか(自分自身の責任と危険とにおいてなされる限りにおいての意見の実行についての自由)、ということが社会と個人にとってのメリットの点から論じられています。
この章でミルが個性の発現に対する障害として考えているのは習慣であり、社会が持つ習慣に沿った行動を個人に要請してくる様々な圧力のことです。ミル曰く、社会のそうした傾向は非常に根強く、社会の理知的な側面が多様な個性の存在が社会にとっても個人にとっても有益であることを自覚しない限り、その傾向は変わらないといいます。
それはさておき、ミルの説明を見てみます。
まず、社会にとってはどのようなメリットがあるとミルは言っているのか。
社会が進歩していくためには、変革や進化が必要なのですが、そのためには習慣にとらわれない独創性が必要であるとミルは言います。つまり、習慣からの圧力が強く独創的な天才的な個性が制限され、凡庸であることが美徳として認知される社会では進化や変革は起こらず、濁った水たまりのような社会になってしまうといいます。
故に、社会が変革され発展していくためには、独創性を許容する傾向、つまり、自由な個性が保障されていることが必要であるということです。
次に、個人にとっての側面を見てみます。
ミルの説明によると、人間というのはそれぞれ異なっています。思想や良心も人それぞれ異なっています。それ以外のありとあらゆる側面でも人間は互いに異なっています。つまり、人間が成長するために必要な刺激も個々人の間で異なっているのです。しかし、習慣に基づく平均的な行動しか許されない社会では、個々人が成長のために要求する多様な刺激をカバーすることはできません。つまり、個々人がそれぞれ成長していくためには、習慣にとらわれることのない多様な行動とそれに伴う多様な刺激が必要であるということです。言い換えれば、自由な個性の発現を保障するということは個々人の成長の可能性を広げることでもあり、それがミルの曰く個性の自由が個人に与えるメリットなのです。
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