ルネサンス、宗教革命と思想
ルネサンスと宗教革命は近代の二つの柱である「民主主義」と「自由主義」の二つを準備した。特に、ルネサンスは「民主主義」を宗教革命は「自由主義」を用意することになった。
ルネサンスとは、端的に述べれば14世紀から16世紀にかけて起きた古代ギリシャ・ローマ文化の復興運動である。古代ギリシャ・ローマの文化の復興運動は十字軍以降神聖ローマ帝国他イタリア半島の諸国とビザンツ帝国の間の交流が盛んになるにつれて、ビザンツに蓄積されていた古代ギリシャ文化がイタリア方面に流入したことを通して始まった。
ルネサンスの時代、思想史の観点から重要な変化は「人文主義」の起こりであった。中世における「知」が「教会に関するもの」であり、いわばキリスト教に規定されたものであったのに対し、人文主義は「人間的事象、自然的事象を合理的な手法で探求する文芸」であった。すなわち、人文主義においては「人間に関するもの」が「知」の中心になったのである。更に、合理的な手法によって、とあるように合理主義的な立場をとる。即ち、人間の理性の重要性がここにおいて再認識されることになったのである。
次に宗教改革であるが、これは一般的に定義すれば教会中心的な権威的なキリスト教のあり方を、個々の信仰や個々の人間と神とのミクロな関係を重視する内面重視なあり方に転換しようという試みである。いわば、イエスの原始キリスト教への回帰の運動である。これまで、教会に独占されていた神との関係は、宗教改革を経て個々の人間の元に帰り、それは結果的に「内面的な自立と主体性」を人々の間に確立することにつながった。そして、それは自由主義の土台を成す概念であった。
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