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速読多読 C・ライト・ミルズ著 社会学的想像力

読了日:2017年3月23日 読了時間:6時間 中々長い本で内容もそこまで簡単ではなかったので、時間はかかってしまったし、内容理解についても非常に粗末なものになってしまいましたが、とりあえず、通読はしてみました。社会学的想像力というアイデアはこれまで履修してきた社会学のいくつかの授業の中で取り上げられていたため、すでになんとなく知っているアイデアではあったので、なんとなく取り付きやすい内容でした。内容理解については自己評価は30点くらいですが、一応まとめます。 内容について 社会学的想像力とは、個人史と歴史、そしてその両者が社会の構造の中でどのように交わるかについて思考するための力であり、社会科学の伝統と約束に基づくものである。社会学的想像力を働かせるということは、私的問題と公的問題の間の構造的な関係を理解することを含む。そのため社会における経験的な問題を歴史的な構造のなかで位置づけながら、その問題について私的な位相と公的な位相の様々なレベルでのパースペクティブの移動を行うことが必要である。 社会学的想像力がそうであるように、一方で社会科学は常に経験的で具体的な問題の解決という目標を含み(具体的な現実との結びつき)、他方で歴史的な広がりや、問題の社会全体における構造的な位置関係など、大局な視点を伴っている。換言すれば常に多様な位相(部分と部分やと部分と全体など)の間の視点の移動を伴っている。 昨今の社会科学の研究は社会科学の伝統や約束が歪曲されがちだから、現代社会の問題を理解するために必要な社会学的想像力がうまく働かず、問題の個人化・私的化ばかりが起こる。(公的には無関心が問題になり、私的には不安が問題になる) 社会学的想像力というこの本は、概念の物神化に陥ってしまったグランドセオリーや、形式(方法)への過度の傾倒のため研究の対象の問題が形式に置き去りにされてしまい、結果として問題が持つ歴史的意味や構造的な位置についての視点を欠いたために無意味な事実の集積となってしまった抽象的な経験主義などの、社会科学の伝統に対する歪曲への批判などを通して社会科学の伝統(約束)を改めて確認する、という試みである。

速読多読。読書日記(久々) E・H・カー著 歴史とは何か

書籍名 E・H・カー著 歴史とは何か 読了日 2017年3月16日 読了時間 5時間 久々の『速読多読』になりました。 なかなか最近は、特に忙しいわけではないんですが、悩みの日々といいますか、難しい時期です。高校生のときもそうでしたけど、進路を選択するというのは簡単なことではないですね。考えることから逃げ出したくなってしまいます。 それはさておき、本題の速読多読の更新をします。 今日読んだ本は、『歴史とは何か』という本です。 著者のEHカーは、イギリスにおいて外交官、政治学者、歴史家とマルチに活躍した人物です。そして、著名な刊行物としては、『危機の20年』や『歴史とは何か』などがあり、それらの作品は日本においても世界各国においても多く引用されています。 この本との出会いは、二年前の冬、教職課程の何かの授業でした。細かないきさつは忘れてしまいましたが、尊敬する先輩に勧められるがまま購入し、そしてそのまま読まれることなく今を迎えてしまっていました。 そして再び、この本が手に取られた背景にあるのは、進路決定の悩みです。 人々が持っているある事柄に関するイメージがどのように作られてきたのか、ということを知るために、文献を探していた時に頭に浮かんだのがこの本でした。 二年前、先輩がこの本を勧めていただいたとき、その先輩は『この本には、歴史というものが誰によってどのようにして作られてきたか、ということが書いてある』と仰っておりました。歴史は自然に起こってきたことの記述であろうと感じていた自分にとっては、『歴史が作られる』というその言葉が新鮮で興味深く感じ当時手に取った背景がありました。 要するに”歴史は歴史家を通した社会的な構築(Social Construct)である”ということがその言葉の趣旨であろうと思われるその言葉を覚えていた自分は、社会的な構築がどのように行われるのかを学ぶにあたって参考にすべく今回手に取ったのでした。 前置きが長くなってしまいましたが、内容を手短にまとめます。 というか、本当に流して読んだので、手短以上に内容について述べることができないので、手短に述べます。 まず、一言でまとめるならば、”歴史とは、歴史家を介して行われる社会的構築である”ということであろうと思います。 ...